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2023/05/22

新規採用者・経験未熟者のためのノンテクニカルスキル教育

新規採用者・経験未熟者のためのノンテクニカルスキル教育

企業の悩み

企業は事業を進めていく中で、様々な課題・問題を抱え、それらの解決策に尽力している。
特に、ここ数年は、新型コロナウイルス感染症(COVID 19)による働き方の変革、仕事の進め方の見直しやウクライナ問題による食料やエネルギーといった商品市況の高騰、貿易、そして金融に関する影響が世界規模で顕在化してきている。
このような背景に加え、SDGsによる持続可能を求めた環境革命の影響も大きく、企業はよりその社会的責任が求められるようになってきている。
企業は、その社会的責任や存在意義を示すために、組織の維持、強化を図っていく。組織は人の集団であるが、その人について、企業は課題等を抱えていることも少なくない。例えば、求人をかけても応募する人が少ない、人材育成をどのように進めていけば良いのかわからない、先輩から後輩への技術の伝承がうまくいっていない、あるいは、安全衛生には注意しているはずなのに事故・災害が起こってしまう等である。いくつか例を挙げたが、実際には企業によって、また業種によって違った課題が見えてくるが、今回は、事故・災害が起こってしまう点について着目したい。

それでも事故・災害は無くならない!

「当社は、安全衛生活動計画をしっかり建て、安全衛生教育計画も毎年しっかり実施している。安全衛生関連書類も整備されている。リスクアセスメントも行い、仕事前のツールボックスミーティング(以下、T B Mという)や危険予知活動(以下、K Y Kという)もきちんと行っている」という企業がほとんどでは無いだろうか。そういった企業の安全衛生診断を行うと、確かに、安全書類は整備され、T B MやK Y Kもきちんと行っている。当日の作業の危険なポイントも洗い出され、それについて対策や行動も考えられている。
しかし、事故・災害は無くならない。そのために、「なぜ事故・災害が起こるのか」さらなる深掘りが必要となる。安全診断において、安全書類や現場でのT B M、K Y Kを私自身の目でみて確認しても、非常によくできており、何故、事故・災害が起こるのだろうかと考えさせられる。原因分析のために現場で働く人々に対し、ヒアリングを行い、客観的な事実を確認すると、業種業態は違うが、一貫して共通した課題・問題がある。それは、ノンテクニカルスキルの教育活用がうまく実行されていないと言う点である。特に、新規採用者・経験未熟者への教育に関して感じるのである。
昨今、ヒアリングで前職や社歴をお聞きすることがあるが、前職が現在の仕事と全く違う仕事をしている方も少なくない。終身雇用の終焉や働き方改革の煽りを受け、仕事を変えざるを得なくなって仕事を変える人たちもいる。こういった方々に対しては、テクニカルスキルよりも、むしろノンテクニカルスキルが必要ではないか!とさえ感じる。もちろんテクニカルスキルが最も大切であることは言うまでもないが、テクニカルスキルを補完するためにノンテクニカルスキルが重要であると言うことである。

ノンテクニカルスキルとは?

ノンテクニカルスキルとは、専門的な技術・能力を意味するテクニカルスキルのような専門的なスキルでは無く、非専門的な技術のことである。例えば、コミュニケーション能力やチームワーク、状況認識力などがノンテクニカルスキルである。いかにリスクアセスメントを知っていても、慣例的に安全パトロールを行なっていても、事故・災害を無くすには、テクニカルスキルだけではなく、ノンテクニカルスキルの理解と実行が必要である。その理解と実行について、新規採用者・経験未熟者には特段の安全配慮が必要である。そのために必要なこととは何か?これらの方々への安全意識の醸成は基本として、その方々に安全な環境を作り上げるためのノウハウを企業が提供することではないか。労働安全衛生法による安全衛生教育そのものではなく、その教育をいかに効果的に進められるかという観点からノンテクニカルスキルが大切なのである。

効果的・効率的なノンテクニカルスキル教育計画の建て方

安全衛生教育とは、労働者が安全で衛生的な業務を遂行しながら事業場における労働災害を防止するために行われる教育のことを指し、事業者には実施義務がある。
教育効果を高め、事故・災害を起こさない行動を起こす仕組みのための教育がノンテクニカルスキル教育であると私は考えている。再度、言う。新規採用者・経験未熟者には、テクニカルスキルよりもむしろノンテクニカルスキルが必要であると感じている。
それでは、ノンテクニカルスキル教育の内容と計画の建て方について説明したい。安全衛生教育然り、リスクアセスメントや当日のT B M・K Yも、社内外のコミュニケーションが必要であり、安全衛生指導者にはティーチング・コーチング技術、そして、現場で働く人にとっては、危険なところを危険と感じる危険感受性についての教育(=ノンテクニカルスキル)が必要になる。
危険感受性については、業種業態は関係ない。危険と感じるかどうかである。これらのノンテクニカルスキルとテクニカルスキルを有機的に結びつけて計画を建てると良いのではないだろうか。
たとえば、事故・災害が無くならないとお困りの場合、教育内容そのものをもう一度考えてみてはどうだろうか。
現場ではコミュニケーション能力やチームワーク等が必要とされる。現場でのコミュニケーション能力とは何か、チームワークとは何か、安全衛生教育計画に加えてみることである。
それでも、安全衛生活動について、どうしたら良いか迷われている方、少しでもきっかけの作り方をお知りになりたい方は、7月27日(木)、東京ビッグサイトにお越しください。

筆者情報

労働安全コンサルタント(一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会 東京支部所属)
技術士(電気電子)

仁田 晃人 氏

株式会社NITTA CONSULTING FIRM 代表取締役

電気電子を専門とするエンジニアとして、原子力発電所、核融合研究所及び不動産の統括管理、データセンター等のコンサルティングに従事した経験を活かし、2016年9月より企業顧問・コンサルを中心として株式会社NITTA CONSULTING FIRMにおいて事業を展開中。労働安全コンサルタントとして、ISOコンサル、工事中の労働安全診断及び労働安全衛生管理体制サポートなどの活動を推進している。 株式会社NITTA CONSULTING FIRM:https://nitta-consulting-firm.com
電気電子を専門とするエンジニアとして、原子力発電所、核融合研究所及び不動産の統括管理、データセンター等のコンサルティングに従事した経験を活かし、2016年9月より企業顧問・コンサルを中心として株式会社NITTA CONSULTING FIRMにおいて事業を展開中。労働安全コンサルタントとして、ISOコンサル、工事中の労働安全診断及び労働安全衛生管理体制サポートなどの活動を推進している。 株式会社NITTA CONSULTING FIRM:https://nitta-consulting-firm.com

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